全国の大学の理工系学部の入試で、「女子枠」が増えているということをニュース等を通じて耳にしている方も多いと思います。本レポートでは、財団の学生アンバサダーメンバーが調べた「女子枠」入試一覧の情報と、「女子枠」がなぜ増えているのか、その考察をまとめました。理工系学部の大学入試「女子枠」設置状況まとめ全国で広がる、理工系学部の入試における「女子枠」。2023年7月時点で、理工系学部で「女子枠」推薦入試を設置している全国の大学を、財団学生アンバサダーのHonami&Zooが調べました。なお、入試の情報は変更になることがあります。そのため、正式な情報については、必ず各大学の公式ウェブサイト等でご確認ください。地域大学名開始時期入試名女子枠募集人数学科・専攻北海道北見工業大学2024年度総合型選抜コース確定枠計16人エネルギー総合工学コース北陸新潟工科大学2024年度総合型選抜富山大学2023年度学校推薦型選抜計8人電気電子工学金沢大学2024年度総合型選抜計34名理工5学類首都圏芝浦工業大学2022年度総合型選抜工学部東京工業大学2024年度総合型選抜計85人物理工学院神奈川大学2011年度公募制自己推薦計16人電気電子情報工学科東京理科大学2024年度総合型選抜計48人工学部第一工科大学学校推薦型選抜各学科の募集人数の5%航空工学部東海名古屋工業大学2024年度学校推薦型選抜計28人物理工学愛知工業大学女子学生推薦工学部大同大学2021年度総合型選抜関西兵庫県立大学2016年度学校推薦型選抜電気電子情報工学科四国・中国島根大学2023年度学校推薦型選抜Ⅱ計6人材料エネルギー学部九州大分大学2024年度学校推薦型選抜Ⅰ知能情報システムプログラム2人熊本大学2024年度学校推薦型選抜計8人情報融合学環宮崎大学2025年度学校推薦型選抜計14人化学生命プログラム2人なぜ増えている?理工系学部の「女子枠」入試にまつわる3つのギャップここでは、なぜ理工系学部の「女子枠」入試が近年増えているのか、という点について考えていきたいと思います。かつての日本は、世界をリードするものづくりで経済成長を遂げました。しかし、コンピューターサイエンスなどの分野で遅れを取り、世界を驚かすようなイノベーティブな商品開発やサービスの創出につながっていない現状があります。そういった経済的な低迷への危機感から、産業界では理工学の素養を持った人材を採用したいとの声が大学に多く寄せられており、この企業による人材採用における需給ギャップが課題となっています。これが1つ目のギャップです。ただこれは女性に限定されたことではなく、日本の産業界全体の課題といえます。続いて2つ目のギャップです。文部科学省によると、2022年の全国の大学の理工学部に所属する学部生のうち、女子学生の比率はおよそ15.8%と低迷しています。理工系学部に進学し、男子が多くを占める中で、やっていけるのか、友人ができるのか、といったことに不安をもつ女子学生も少なくないようです。実際に理工系学部に進学した大学生の女性の話を聞くと、「女子は少ないけれど、友人関係は幅広く持てるし、マイノリティであることの不便を大学生活では感じていない」「大学が女子を応援する取り組みをしてくれているので安心して進学してほしい」との声も聞こえてきますが、大学入学前の高校生女子にとっては不安要素が大きいため、そこにギャップが生まれています。最後に、国際的な視点からの学習環境の魅力度という意味でのギャップが挙げられます。日本の理工学部の学習環境を見た時に、留学生たちが、多様性のなさから日本の大学を敬遠するケースがあるようです。多様な背景を持つ学生が同級生であれば、ディスカッションにも多様な視点が入ってきて、イノベーティブな発想が生まれやすくなります。しかし、女性が少ない、留学生が少ない等の学習環境では、海外の同レベルの理工学部などと比べた時に見劣りしてしまう、ということが指摘されています。大学にとってはこのギャップは深刻で、少しずつでも女性比率を上げていかねば、海外の生徒や保護者から選ばれなくなっていってしまうとの危機感につながっているようです。以上のような3つのギャップを背景に、理工系学部における大学入試の「女子枠」が広がりを見せているのですが、ある意味これは、理工学系を目指す女子学生の皆さんにとってはチャンスです。ぜひ、このような「女子枠」に関連した入試の情報を集めて、志望校選びの参考にしていただきたいと思います。この情報が皆さんの志望校選びに役立つようであれば嬉しいです。なお、随時更新していきますので、大学等で新たに設置の動きがあれば、ぜひ財団まで情報をお寄せください。