公益財団法人山田進太郎D&I財団
2022年度事業報告書
代表挨拶
女性がSTEM(理系)分野で学ぶことをさまざまな背景から諦めることが少ない社会を目指して
2022年、山田進太郎D&I財団は公益法人になりました。また、本年は政府による理工系分野の女性活躍推進、特に女子学生の占める割合の少ない理工系分野の大学における女子学生枠の確保等に積極的に取り組む大学が増えるなど、社会において理工系女子問題への注目度が高まった年でもありました。財団では、主軸事業であるSTEM(理系)奨学助成金事業で、対象学年を中学3年生のみから高校生にも広げて、採択者数を600名(中3 100名, 高1~高2 500名)に増やしたほか、本テーマのエコシステムの形成に積極的に取り組み、理工系女子の問題に取り組むステークホルダーとなる企業や非営利団体、大学とのパートナーシップを増やすことができました。今後も、当財団ならではの新たな発想力や機動力を生かして、「好きなことをやろう」のスローガンのもと、女性がSTEM(理系)分野で学ぶことをさまざまな背景から諦めることが少ない社会を目指して、さらに社会にインパクトを出せるように活動していきます。
山田進太郎(やまだ・しんたろう)
公益財団法人山田進太郎D&I財団 代表理事、メルカリ 代表執行役CEO
1977年愛知県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。大学在学中、楽天でインターンとして「楽天オークション」の立ち上げに携わる。卒業後にウノウを設立し、ウェブサイトの企画・開発・運営やソーシャルゲームなどを展開する。2010年ウノウを米ジンガに売却、12年にジンガジャパンを退社し、13年メルカリを創業。フリマアプリ「メルカリ」を展開し、18年に東証マザーズに上場(22年東証プライム市場に昇格)。21年山田進太郎D&I財団を設立。
財団ビジョン/ミッション
D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進することで、ジェンダー・人種・年齢・宗教などに関わらず、誰もが自身の能力を最大限に発揮できる社会の実現へ寄与する
財団の活動の柱 1
奨学助成金
日本では、中学時点でジェンダーの理数系成績の差がないにも関わらず、同調圧力や、ロールモデルがいないこと、学部によって女性がマイノリティとなることへの恐れなどさまざまな理由で、女子生徒が理系分野で学ぶことに関心があっても高校・大学受験時に文系を選ぶケースが多い傾向にあります。当財団では、理系分野で学ぶ女子学生を増やし、ひいては理系職種のジェンダー・ギャップを埋めることを目指し、理系進学を目指す女子学生に返済不要な奨学助成金を支給しています。
2022年度の募集対象
①高等専門学校・理数科などへの進学を目指す中学3年生 100名
②STEM(理系)分野への大学進学を検討しており、理系コース/理系科目を2023年度に選択予定・継続選択する高等学校1,2年生の女性(性自認含む)500名
内容
奨学助成金の支給額は10万円で、資格認定後の2023年5月~6月頃に一括給付を実施しました。また、6月には「奨学生の集い」をオンラインで3回開催し、全国から約300名の奨学生が参加。理系分野で学んで大企業で活躍する先輩女性や大学生をゲストに招き、進路選択のエピソードや現在までのキャリア、今後の展望等についてお話を伺うなど、対話・交流を行いました。
奨学金の使途
奨学助成金の主な使途は、学費、書籍費等の他、PC/タブレットの購入や、探究のための材料費、留学/視察関連費用などで、奨学生の未来を切り拓くためにご活用いただいています。
選考委員一覧
2022年度は以下10名の皆様に、選考委員として選考に携わっていただきました(敬称略)。
大隅典子(委員長)
東北大学副学長・附属図書館長・大学院医学系研究科教授
荒井佑介
特定非営利活動法人サンカクシャ 代表理事
伊藤淳司
横浜国立大学 経営学部 非常勤講師
加勢雅善
立教大学大学院 21世紀デザイン研究科 兼任講師
鈴木敦子
NPO法人ETIC.Co-founder、シニアコーディネーター
竹田和広
一般社団法人ウィルドア 共同代表理事
田中優希
法政大学 経済学部教授
熊 仁美
NPO法人ADDS 理事
水谷衣里
株式会社風とつばさ 代表取締役
山本和男
NPO法人アスクネット 代表理事
財団の活動の柱 2
エコシステム形成
エコシステム形成事業の目的は、多様なパートナーシップを通じて、女子生徒のSTEM(理系)進学を促進するための総合的な支援体制を築くことです。具体的には、企業との連携による調査・政策提言活動、大学・高等専門学校との連携による支援プラットフォーム、非営利団体や有識者との協力によるイベントを推進しています。これにより、生徒はもちろんのこと、保護者や教職員もSTEM(理系)に関する多様な情報やネットワークを得て、STEM(理系)分野での進学や将来の躍進に向けて準備することができます。
イベント/プログラム
調査・政策提言活動
企業と連携して、女子生徒のSTEM(理系)進学に関する現状や課題、海外事例を調査し、それに基づいて政策提言を行う取り組みを推進しています。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(官公庁ヒアリング/海外事例調査/文理選択に関する調査分析)
アクセンチュア株式会社(奨学金応募者データ/中高生調査分析)
大学や高専との連携による「Girls Go STEM! 〜大学・高専支援プラットフォーム〜」
全国でSTEM(理系)女子を支援する取り組みを展開している10大学をつなぎ、相互交流や勉強
会の機会、各大学等のイベントの広報支援を行っています。
参画大学:お茶の水女子大学、北九州市立大学、熊本大学、佐賀大学、滋賀県立大学、芝浦工業大学、信州大学、東北大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進センター、八戸工業大学、山梨大学、五十音順










各種イベント
女子生徒のSTEM(理系)分野への興味関心を高めることを目的に、非営利団体や企業、有識者、大学生や社会人の女性ロールモデルの方々とコラボレーションし、イベントを実施しています。
おもなイベント:
・理系の魅力に出会う!オンライン配信イベント「STEM Girls Festa」(2022年7月23日)
・高校生女子が海外留学でSTEMを学んだら?トビタテ!留学JAPANから先輩が登壇!STEM Girls座談会特別企画(2022年12月10日)
・STEM分野で活躍する女性たちが登壇!〜先輩に学ぶ未来の描き方〜私が守る私の“カラダ”「W week」<DAY1> (2023年3月4日)
パートナー企業コメント
すべての人が、
好きなことを目指せる社会に。
前田 善宏 様
デロイト トーマツ グループ Chief Growth Officer
私たちデロイト トーマツ グループ は、激動する社会において価値創出を目指すプロフェッショナルファームとして、日々、変革への挑戦を重ねています。そして、その挑戦の中には、Diversity, Equity & Inclusionの推進も含まれます。また、社会全体のインクルージョン推進強化に向けても様々な取り組みを行っています。特にジェンダー平等の観点からは、世界中の女性の職場における全体的な満足度・展望・モチベーションに関する調査(Women@work)や、組織内で活躍する女性エグゼクティブ及び次世代リーダーをサポートするための包括的な取り組み(SheXO Club)、あるいはテクノロジー領域を志向する女性支援の取り組み(Women in Tech)といった活動を進める中で、本財団の「すべての人が、好きなことを目指せる社会に。」といった理念や各種取り組みにも共感し、支援させていただいております。
数字で見る財団活動
応募者数/支援した女子学生の総数
応募者の地域分布
北は北海道から南は沖縄まで、すべての都道府県に在籍している中高生からご応募をいただくことができました。教育委員会や学校を通じて、ポスターによる広報にご協力をいただいたり、SNSでの情報発信、メディア掲載などにより、少しずつこの奨学助成金の認知が浸透してきています。
給付対象者の志望する分野
奨学生の応募時点での関心分野は多岐にわたります。中高生は進路に迷い、将来の方向を模索する時期にあります。そのため、異なる分野の魅力や将来の職業イメージに触れることが重要です。財団は引き続き、中高生世代にSTEM分野を中心に多様な情報を提供し、一人ひとりの生徒さんたちが納得できる進路選択をサポートしていきます。
応募者の理系進学に関連したハードル
奨学金応募者から女性の理系進学に関して、さまざまなハードルがあるとの声が寄せられました。
親や親戚に対して
大学進学では上京したいと考えているが知り合いや親戚が東京におらず、東京での暮らしのイメージが湧かない。親などからも帰省などの交通費、家賃生活費等金銭的な面や安全上の面から上京に反対されている。
理系の進学先が増え、今までになかった新しい分野や職業ができたのが嬉しい反面、親の時間は止まっていて、「理系なら医者か薬剤師、英語は必要ない」など、思い込みがあり、それに当てはめようとしてきます。
理系ということだけではなく、女だからとか男だからとかまだまだ田舎はそんな考えの人が多いです。
学校に対して
高校での進路指導の中で理系選択に対し、不安をあおるような内容が多く、学校は理系選択に対し積極的ではないと感じる。
マイノリティであることについて
大学の理系学部の男女比を調べてみるとほとんどの場合男子割合がかなり高く、理系学部に進学した場合の大学での生活に不安を感じます。
パートナーシップ/イベント実績
STEM分野で活躍する各界の著名人にご登壇いただいた"STEM Girls Festa"から、文部科学省の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の協力によるSTEM分野での海外留学に関連したイベント、学生アンバサダーが運営するSTEM Girls座談会まで、さまざまな角度からSTEM分野の魅力を知ることができる機会を創出しました。
アンバサダー/プロボノ活動
国内外でSTEM(理系)分野で大学/高専に進学し、財団の趣旨に賛同してくださった学生アンバサダーの皆さんに、座談会運営や中高生女子にSTEM分野で学ぶことの魅力を知ってもらうための情報発信を担っていただきました。また、プロボノメンバーは、広報、調査、イベント運営において、専門スキルを生かして、財団のゴール達成に向けて活動していただいています。
外部発信/コミュニケーション活動
公式メルマガ購読者数:869
主要SNSチャネルの全体のフォロワー数:2,274
※X, Instagram, Facebook
公式WEBサイトへの訪問者数:約7万
※いずれも2022年7月から2023年6月末の数値あるいは2023年6月末時点の数値
調査スキーム/パートナーシップ形成
海外調査(ドイツのSTEM施策調査)



調査・政策提言でご協力いただいた企業や団体
23社・団体
海外調査(ドイツSTEM施策調査)でご協力いただいた政府機関や企業・団体
12社・団体
賛同者/支援者コメント
日本で不足している
理系女性人材を育成し、
大きく社会に貢献する
日本で不足している理系女性人材を育成し、
大きく社会に貢献する
大隅典子 様
東北大学副学長・附属図書館長・大学院医学系研究科教授
日本のジェンダーギャップ指数が悪化したのは、高等教育進学におけるジェンダーギャップが背景にあり、とくに進学率の低い地方においてその傾向は顕著です。全国広くSTEM(理系)女子奨学助成金授与のチャンスを与える財団の方針は、日本で不足している理系女性人材を育成し、大きく社会に貢献することが期待されます。
メンバー紹介
山田 進太郎
Shintaro Yamada
代表理事/創設者
富島 寛
Hiroshi Tomishima
常務理事
田中 多恵
Tae Tanaka
事務局長
大洲 早生李
Saori Osu
広報・マーケティング調査・政策提言
菅野 流飛
Ryuhi Kanno
エコシステム・奨学金企画
松本 このみ
Konomi Matsumoto
制度設計・奨学金企画
アンバサダー/プロボノ

財団概要
法人名
公益財団法人山田進太郎D&I財団(Yamada Shintaro D&I Foundation)
住所
〒106-0032 東京都港区六本木7-14-23
理事
代表理事:山田進太郎、常務理事:富島寛、理事:末松弥奈子
職員数
4人
沿革
2021年7月
一般財団法人 山田進太郎D&I財団 設立
第1期STEM高校生女子奨学金の募集を開始。
2022年9月
内閣府公益認定等委員会より公益財団法人の認定をうけ、「公益財団法人 山田進太郎D&I財団」に法人名を変更。